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「研修にお金がかかりすぎる」とは言わせない!ROI(費用対効果)の可視化で上層部を納得させる予算獲得術

2025年12月9日

「研修の予算、高すぎない?」「本当に効果あるの?」

来期の予算策定や、新しい研修企画を提案する際、経営層や役員からこのような厳しい言葉を投げかけられ、胃が痛くなる思いをしている教育担当者の方は多いのではないでしょうか。

特に「人的資本経営」が叫ばれる昨今、本来であれば人材への投資は「コスト」ではなく、企業の成長を牽引する「投資」として認められるべきです。しかし、その投資が具体的にどれだけの成果を生むのかを明確に示せず、悔しい思いをしている方も少なくないはずです。

本ブログでは、研修費を「削減対象のコスト」から「利益を生むための投資」へと認識を変えさせるための強力な武器となる、研修のROI(Return On Investment:投資収益率)の考え方と、企画段階から成果を約束するための評価設計手法について解説します。

「なぜこの研修が必要なのか?」という問いに対し、上層部が納得せざるを得ないロジックで答えられるよう、あなたの研修を「戦略的投資」として武装させましょう。

まず、私たち教育担当者が直面している壁の正体を知る必要があります。なぜ、経営層は研修費用を「コスト」と見なし、削減しようとするのでしょうか。

それは、研修の成果が「ブラックボックス化」しているからです。

多くの経営者は、人材育成の重要性を否定しているわけではありません。むしろ、「人への投資が、将来的にどの程度の事業目標達成に貢献するのかを知りたい」と切実に考えています。しかし、従来のような「受講者アンケート(満足度)」や「理解度テスト」の結果だけでは、ビジネスへのインパクトが見えません。

「100万円かけて研修を行い、満足度は高かった」──この報告だけでは、その100万円が有効に使われたのか判断できないのです。

研修の効果測定には、世界的に有名な「カークパトリックの4段階評価モデル」があります。(Kirkpatrick, 1994)。

  1. レベル1:反応(Reaction) 受講直後の満足度など
  2. レベル2:学習(Learning) 知識やスキルの習得度
  3. レベル3:行動(Behavior) 現場での行動変容
  4. レベル4:業績(Results) ビジネス上の成果

多くの企業における研修評価は、レベル1やレベル2で止まりがちです。

しかし、経営層が求めている「投資対効果」を証明するには、レベル3(現場で行動が変わったか)やレベル4(売上や利益に繋がったか)に踏み込む必要があります。

さらに、近年ではここに「レベル5:ROI(投資収益率)」を加えたジャック・フィリップスのモデルも重要視されています。

計算式は非常にシンプルです。

ROI(%) = (研修による利益 - 研修総コスト) ÷ 研修総コスト × 100
※「純利益」は売上ではなく粗利・貢献利益ベースで算出します。

例えば、総額200万円の営業研修を行い、その結果として粗利が500万円アップした(利益貢献があった)とします。

計算式は、(500万 - 200万)÷ 200万 × 100 = 150% となります。

つまり、「この研修は投資額の1.5倍のリターンを生んだ」ということになります。
このように明確に説明できれば、研修費はもはや「コスト」ではなく「利益を生む投資」として認識されます。

ROIを高める研修を実現するには、研修後に評価するのではなく、企画段階で“効果が出るように設計する”ことが重要です。

以下の3ステップで、投資対効果を最大化する設計が可能です。

ステップ0:研修設計の前に、教育は「最後の手段」であることを忘れない

ROIを上げるには「成果(分子)」を増やし、「コスト(分母)」を抑えることが基本です。そのためには、HPI(Human Performance Improvement)の視点が欠かせません。

パフォーマンス低下の原因がスキル不足ではなく、環境・制度・ツール・指示系統にある場合も多く、教育は最終手段と位置づけるのがHPIの考え方です。

教育以外の介入策(業務マニュアルの整備、ツール導入、評価制度見直しなど)で解決できるなら、研修コストを削減でき、結果としてROIを高められます。

ステップ1:経営に直結!「レベル4(結果)」から目標を逆算する

研修を行うと決めたら、まずはゴール設定をしましょう。

「〇〇スキルを身につける」ではなく、「売上昨対比110%達成」「製造ロス率を5%削減」といった、組織のビジネスゴール(レベル4)を研修の最終目標に据えます。

この「レベル4」の合意を経営層や現場責任者と最初にとっておくことが、後の評価において最も重要になります。

ステップ2:「レベル3(行動変化)」を可視化する

ビジネスゴールを達成するために、現場で具体的にどのような行動が必要かを明確にします。

コミュニケーション系のパフォーマンスの例

このように、「行動の質と量」を具体的に定義します。ここまで具体的であれば、現場の上司も部下の行動を観察・評価しやすくなります。

ステップ3:投資対効果(ROI/レベル5)を概算で試算する

企画段階で、「レベル4」で達成したい成果を金額換算し、そこから研修コスト(講師費・教材費・参加者の時間コストなど)を差し引いてROIを試算します。

「受講者の60%が行動変容すれば、半年でROIは約150%見込み」 といった、試算(仮説)を持って決裁を仰ぐことができれば、上層部への説得力は格段に増します。

ROIの計算式は分かったけれど、実際に自分で計算できるだろうか?そんなご不安を持つ方に、具体的な事例で解説します。

事例:入社2〜3年目向け「提案力強化研修」

項目内容
対象若手営業社員 10名
課題行動量は多いが成約率が低い
研修内容顧客ヒアリング・提案書作成の実践ワークショップ(1日)
  • 講師費・教材費など:50万円
  • 受講者人件費(時給3,000円×8h×10名):24万円
    → 研修総コスト = 74万円
  • 研修後、1人あたりの月間粗利が5万円アップ
  • 効果が6ヶ月続くと仮定 → 5万×10名×6ヶ月=300万円

(300万円 − 74万円)÷74万円×100 = 305%
「74万円の投資で半年間に300万円の粗利貢献」つまり、投資対効果は約3倍となります。

このレベルのロジックがあれば、研修は「削減対象」ではなく「収益を生む戦略的投資」として認められることでしょう。

ROIは、研修後に計算機で算出するものではありません。
「企画段階」で設計し、測定方法と基準を決めておくことが重要です。

研修予算について厳しい声をかけられたとしても、感情論ではなく「ROI視点」で論理的に切り返せるようになれば、人事・教育部門は経営の「戦略的パートナー」へと一歩踏み出せます。

「よい研修をしたい」という想いを、「会社を成長させるための確実な投資プラン」という形に変えて、自信を持って提案してください。

リープの「OSHIKATSU-ID」講座では、まさにこのROIを意識した「評価中心の研修設計」を体系的に学べます。上層部を納得させ、現場の成果に直結する新人・若手育成を実現したい方は、ぜひリープの「OSHIKATSU-ID」で学びを通じて、研修設計スキルを高めてみませんか?

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